なぜ・・・

よろこびは
スライドショーのように
次から次から
脳裏のなかを
巡ってゆくというのに

かなしみは
なぜ
いつまでも
心の中に刺さったままなのか

なぜなのか
わたしはわからなくなって
かなしくなった

風が舞う落ち葉が舞う

魔法使いが
大きい箒で掃いたように
落ち葉は
北風に翻弄されて
からころ からころ
から から から ころ
ころ から ころ から
袋小路まで飛ばされていく
落ち葉は
ズックの靴に踏まれて
しゃり しゃり しゃん
しゃり しゃり しゃん
音を立てる
魔法使いが
指揮棒をふったように
秋の音が
落ち葉から聞こえてきます
わたしは
厚い落ち葉の道を
踏んで歩きます
くるくる廻ります
ひゅる ひゅる ひゅる るるん
ひゅーう ひゅーう
ひゅる ひゅる ひゅる るるん
北風と落ち葉のメロディにのって
しゃり しゃり しゃん しゃん
ひゅーう ひゅーう
落ち葉が舞う
風が舞う
落ち葉を踏む音とともに
冬が近づく

みつけた・・・

みつけた・・・
どんぐりの実
まだ緑色のどんぐりの実
枝にくっついて
どんぐり坊やがたくさん

みあげた・・・
どんぐりの木
秋の空が
見え隠れしている

この木の下で
わたしは
真夏に
蝉を探していた
やかましい声の主を探していた

いまは
同じどんぐりの木に
ひとり もたれかかり
秋のいろどりに
みたされている

ああ
あんなところに

むらさきしきぶが
実をたわわにつけて
ひっそりと
揺れている
秋の日差しに
照り輝いている

みつけた・・・
自分のこころの中の色
春でもなければ夏でもなく
冬でもない
むらさきしきぶの 秋の風情


生きる

ああ、あの桜の老木は
ねじれながら、老いていくではないか
ねじれながら、美しい花を咲かせるではないか

人は泣き声をもって
生まれてくるではないか
泣いていいのだよ
大声を上げて泣いて生きていくのだよ
泣きたいだけ泣くのだよ

どのようにして生きるのですかと問わなくてもいいのだよ
何が残っているのですかと問わなくてもいいのだよ
心が残っているではありませんか
心が生きるのですよ


まんじゅしゃげの花

秋雨に
打たれ潤う
まんじゅしゃげ

つよい花だよ
葉より先に赤い花を地面から
突き出すなんて
赤い花が先なんて・・・

そんな決断私にはできない


雨の日に霞んで
みえる
まんじゅしゃげの花



真赤なTシャツを着て

・・・南から太陽が
   背中を暖めてくれて
・・・さらっとした北風が
   まっかなTシャツのなかを

抜けていく
風は 私のこころの中を
ふれて行き
さらに彼方に 行った
冷たい風だった

まっかなTシャツをきて
太陽に背を向けて
体操をした

朝の
・・・ウォーミングアップ


つぶやき

・・・うつくしい
・・・ただうつくしいのだから
浮かんでいる
雲を手に取りたい
どうしても

と、つぶやく

山を越えて
空に行きたい
あの雲のところへ
ちょっとドライブ・・・
トンネルを抜けようよ
山の向こうがわへ

と、つぶやいた

トンネルを抜けると
みずうみだ
その雲は
みずうみの対岸の
山の上の
はるか彼方だった

トンネルの
こちら側は ゆめ きぼう
あちら側は ゲンジツ

コケコッコウー

朝は
静か
高い空
青い空に 白い雲
爽やかに 秋

そして心がおどった

にわとりが
今日もユニークに
朝を知らせている
コケコッコウー は
しりあがりで さいごがながい

四十年まえ
おおさかの
おっちゃんの住まいの
ベランダに
尾長鳥が住んでいて
おっちゃんとおばちゃんが飼っていた
おおさかの四十年前の朝は
夏だった

やっぱりしりあがりで
さいごがながい
コケコッコウーだった

うわさにきけば
おっちゃん
介護に励んでるって
おばちゃんを大事にしてあげて
コケコッコウーがすきだった
おばちゃんと
おっちゃん
最後まで生き抜いて
わたしがいうのも
生意気だけど・・・

きょうも
コケコッコウーが聞こえるといいねえ
わたしはご近所さんの
コケコッコウーをきいてるよ


スピード

ごめんね
社長さん 課長さん 部長さん

わたしは
素手で畑の土をつかんだ
あったかい土だった
ほっとする 一瞬だった

貸してもらっているマイ畑は
秋の風
名残を惜しむ夏の風が
入り混じっているよ
ゴーヤーに
モロヘイヤに
わたしの好きな曲をきかせてあげるんです
ほんとは自分が聴いているのです
畑はいいです フレックスタイム出勤です
もっと素直に言うと
好きなときに畑に行くということです

畑はいいです
ときに
そらをみあげ
はなうたはいつでも自由で
ノルマは全くなくて
体調しだい
気分しだい
畑は楽しいのです

社長さん 部長さん 課長さん
わたしは
日本経済の
スピードについていけません





曼珠沙華

見わたせば
曼珠沙華
凛と咲き誇り

目を上げれば
青空
真綿を引き伸ばしたる雲
南から西へ
西から北へ

目をおろせば
大地に
曼珠沙華の群生
妖怪のおもむきで
堂々と咲き誇る
坂を駆けて来るのは
朝練習のマラソンの少年

ふり向けば
ウオーキングのお婆と白い愛犬
濃い緑の奥より
坂道を降りてくる

病よ驕るなかれ

河のせせらぎ
耳元にあり
生きる力
大地にあり

背の高さに すすきゆれ
膝頭にねこじゃらし あそび
足元に曼珠沙華
曼珠沙華
つんつんと咲き誇る

病よ驕るなかれ

咲き誇れ
曼珠沙華

夜更けて

蛙たちが 合唱しているとおもっていたら
こおろぎたちが、歌っていたのでした
夜が更ければふけるほど、熱の入る大合唱です

一日中
ぼんやり立ち尽くして過ごしてしまいました
なんどもなんども
夜の庭にでては
ぼんやり立ち尽くすのでした
こんな深夜まで眠りたくないほど
悩みは深いのです
むなしい心をもてあまして
大合唱に聞き入っているのです

幾冊もの本がちらばり、
夜具の上にさえ、本が場所をとり
角のとがった本と一緒に
眠るのです
小さくなって眠ります

秋の合唱団
草むらの虫たち
げんきありすぎだよ
お願いがあるよ
もう少し静かに鳴いてくれないかな
できれば
子守唄のように
子守唄のように

風をはこんでください

神様 お願いがあります
風をはこんでください

長い人生を全うしようとしている人たちに 
応援の旗をふりたいのです
大きな旗をふってあげようとおもいます
きっと風はとどくはずです

神様  お願いがあります
南の窓を少し開けてあげてください

ながいあいだ床に伏しているおばあちゃんに
声をかけてあげます
ばあちゃん秋がきたよ
ほら 秋の風がふいてるよと
おしえてあげたいのです
きっと聞こえるはずです

神様 お願いがあります
ドアの内側に ノブをつけてあげてください
優しいノブをつけてあげてください

わたしが、そっと
たたいてあげます

息子は
きっと 開けることができます
きっと 歩き出すことでしょう
耳を澄ましたいのです
息子の足音をしっかりと聞き取ってあげたいのです
風とともに 足音が
きこえてくるはずです

黄色い世界から来た人

黄色い世界から
飛び出してきた
あなたはだあれ

がははと品なく笑う人ではなく
おしとやかな笑みの人になって
黄色い世界からやってきた
その人を
わたしは
きにいった
気に入った
気に入ってしまった

苦悩にみちた
目元ではなく
あいらしい
希望に満ちた
目をもっている人が
黄色い世界からやってきた
その人が
ほんとうは
一番好きだったの
おもいだせたわ・・・


絵筆の
先端から
やって来たわたしの似顔絵
黄色い世界から
すこしのおまじないで
やって来てくれました

おまじないは・・・
わくわくすることでした


つるつる するする するする

里子を書きたいと気持ちが膨らんだ。
百円ショップで、マーカーを四色選んだ。
冷蔵庫をざっざっとふいた。
赤いマーカーで、するするとかいた。
あっという間にかけてしまった。
するするっと、するするっとだよ。

冷蔵庫は、つるつるなんだ。
マーカーが、勝手にかいてくれたんだよ。

おお、びっくり。里子の顔だ。
びっくりだ。
びっくりした。
びっくりしたな、もうびっくりしたよ。

きゃっきゃっきゃっ 
ひゃっひゃっひゃっ 
はっはっはっ


里子、わたしにそっくりだ。

あたりまえだ。
おかあさん、里子は、自画像だって、前から言ってたジャン。
娘が、叫んでいる、笑っている。

自画像をかきたいのです

天の神様
油絵具をたくさんください

里子さんをかきたいのです 
衣装鏡に映っている  里子をかきたいのです

ゆりこさんをかきたいのです
窓のガラスに映っている  ゆりこをかきたいのです

天の神様
メアリーさんをかきたいのです
スプーンの表に映る メアリーをかきたいのです

エリザベスさんをかきたいのです
スプーンの裏側に映る  エリザベスをかきたいのです

天の神様 花柄のワンピースを身に着けて
いすにすわって ほほえんでいる
わたしをかきたいのです

天の神様
あなたにささえてもらい 豊かであるわたしを
たくさんの油絵具でかきたいのです

あなたの平安に満たされている 
わたしをかいてみたいのです

うつぎの花

ほら粉雪が
うつぎの木の下に
はらはらと粉雪が
はらはら
はらはらと
落ちる
うつぎの木の下は
白くて小さい花が
たくさん落ちて
まあ
粉雪が
降ったみたいに白いわ

わたしは
はらはらと涙が落ちる
遠くから
我が子のことを思う
真夏にも、春にも、秋にも、
真冬にも、
一年毎日
我が子のことを思う





(体調不良にて、しばらく記事の投稿をお休みさせていただきます。 9月12日)

ぴち ぴち ぴち

ぴちぴち
ぴちぴち

活きのいい魚じゃあ
あ・あ・あっりません・・・

ぴっち・ぴっち・ぴっち・ですよ

久しぶりのあめの音
楽しいリズム ぴっちぴっちぴっち

傘を差して
くるくる回して
楽しいお散歩
ぴっちぴっちぴっち

ソプラノで雨が降りました
きょうのあめのおとは
ぴち ぴち ぴち
ぴっち ぴっち ぴっち
ちゃぷ

やわらかい羽を
ぱたん 
ぱたんとして
ふわん
ふわんと低く飛びました
それから、大きく飛びました
風に乗りました

生まれたばかりです
羽がひろがったばかりです 

やわらかい
やわらかい ふぁっとした羽です
気持ちよさそうに開いたり閉じたりしています
初々しい姿で
キアゲハチョウは
大空に飛びました

人目につかないところで
さなぎになり
そこは大きな蜘蛛がまいにち糸を張っているのを
しらずか、知ってか、
ひそかにうまれて
飛び立ちました

ほっとしました
うれしいです
かみさまが、守ってくださったのですね

すいかを掘るように

だいすきな
すいかを
ほっています

こだますいかを
まっぷたつにわって
グレープフルーツ用の
ぎざぎざスプーンで
ほるようにたべてゆきました
黙々と
ごうかいに
ごうかいに
ああうまい  ああおいしい

かんがえて かんがえて
かんがえて
わたしは
これからどうするのか
かんがえて
黙々と
たべきった・・・・

灼熱の月

あつい夏だね
今年は火事がおおいよ

あつい夏だね
甲子園はあつくなっているよ

あつい夏だね
灼熱の月と
呼びたいような
オレンジ色の月だよ

あつい夏だね
中途半端なサウナにはいったような 
無風と多湿の闇夜に
ため息と沈黙を繰り返す

灼熱の月は怪しく地球を見下ろしながら
東の空を上っていく

暗い天上から
ぶらさがる
裸電球のようだ





(この詩は、昨年書いたものです、ことしも8月 はじめ、同じ月を、息子と眺めました)
          

カラカラの音がする絵を

描いてみたいね
猛暑で枯れた
雑草のカラカラの音のする
様子を
油絵の具で描いてみたい

すっかり枯れているのに
風に揺れる
生きているような
そっとふれれば
パリッとわれるに違いないのに
生きているような

描いてみたいね
枯れた草や
枯れた花を
茶色くなって固まったままの
動かない
枯れた葉っぱを
たくさん描いてみたい
なぜか・・・

美しくてしかたがないのです

残暑

あぶらぜみがころがっている
目だけがぎょろんとして
からっぽになったみたいだ
風は転がっていく
きょうは空の雲が
うっすら ながい
ああ、こおろぎがないているよ

暑い、暑いとあせをぬぐっているあいだに

ゆく夏を
くつろぐ
夏の音 夏の風 夏の空
夏の輝き

稲穂

稲穂の色は
やさしい色です。
ささくれる私の心の中にまでとどく
優しい色です。
わたしもすこしは
優しくなれそうです。


田園ドライブ

とおくから
日ごとに色を変えていく
田園をながめては
うわー
うおーと
歓声を上げて
好きな歌を歌いながら
ドライブします
太陽の下で働く人の
汗びっしょりの
ご苦労に
思いを馳せます
ありがとう 感謝します

季節は
すすむのですね
稲穂がたれています

お祭りの金魚

ああ 運命。
お祭りの金魚だろうね 
歓声の渦からすくい取られて
ビニール袋の中だったのか
水槽中に入れてもらったのか
オレンジ色の金魚は
いつからなのか
暗い用水路で生き延びていた
金魚 ・・・
だれか金魚を用水路に
放したのですね
ザリガニの餌になりましたよ
たぶんね・・・
ザリガニさんが金魚食べたのですね。

用水路の幸運
ああ不運。


こころ駆られても・・・

心が駆られて
動きがのったりのらりとする

稲は鋭い緑から
目におだやかな色に
黄色い色をおびた
やさしい黄緑色の稲穂が
目のなかに
あふれるように飛び込んできます
悲鳴を上げる猛暑の最中に
やすらぎをみつけました
ここにやすらぎがあるのですね

こころ駆られても

季節はめぐる
ゆったりと
めぐる

え・が・お

きみの
のこしてくれたものは
笑顔でした
ありがとう
わたしも
ひきつぎます
ほほえみではなく
いつも かわらない
え・が・お
ありがとう
笑顔をありがとう


孤独の色

糸が
より太くなるのはどうしてでしょう
より色々な色の糸が
混ざって
よじられてゆきます
わたしの行く道は
細くなりましたが
腕は太くなり
足も太くなり
一人で歩いても
楽しいと思うようになりました
腕を組んで歩かなくても
楽しく過ごすようになりました
君といっしょに歩いた日々も
なぜか孤独の日々でした
そして
全く違う色の孤独を
手に入れました
孤独と隣り合わせの
自由もです
そうして
素直になりました
真夜中に
言葉遊びをするようになりました
別れのあとのわたしを
君は知らないでしょう
また言葉遊びをして
教えてあげます
お楽しみですよ





いのちの燃焼

知らん顔して車が幾台も通り過ぎていくよ
わたしは、みたよ
蝉の腹と前の車の車種

声がないのはさみしいね
ごろんと
ころがって
いのち絶えた姿

見たよ
おなかを見せて転がる
完全燃焼の蝉の夏

みんみん蝉よ

そんなところに転がらないで
危ないから ね。

思惑・やさしさ・叫び

一羽の
鳥が叫んでいる
わたしの休憩に
わたしの畑仕事に
応答しているよに

感じたよ。

しばらく叫び声に聞き入った
君!  何かいつもと違う
少し違う

カラスの思惑は何だろう
夕立が来るよ早く、早く、 帰れ、帰れ
・・・なのかなあ
そうなのかなあ

  
があああああ・・・なんて
何度も叫んで、飛んでいった
カラス君

雨のお知らせありがとう

どしゃぶりの
雨に打たれるのも好きなのよ
・・・夕立に遭いながら
カラスの思いやりを知った
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